【書評】お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践
【書評】お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践
光文社新書 2007/11/16出版 勝間 和代 (著)
最近、友達に株式投資について教えてほしいと言われました。
僕が友達に紹介した3冊のうちの1冊です。本をおすすめするにあたり、10年ぶりに読み返しました。2007年出版の本で少し古めの本ですが、データが豊富です。
みなさんもご存知かと思いますが、勝間和代さんはJPモルガンやマッキンゼー、アンダーセンなどでコンサルタント、トレーダー、アナリストとして活躍してきた経済評論家です。
最新刊「勝間式超コントロール思考」もそうですが、合理的な考えをする勝間さんならではの視点が盛りだくさんです。
どんな本か
金融リテラシー(金融の情報や知識を自分で判断できる能力)の基本を押さえ、実践しながらその能力を磨いていこうという内容の本です。
第1章「金融リテラシーの必要性」
金融リテラシーや日本人の金融資産の現状について触れられています。日本人は定期預金や生命保険などの保有割合が多いことが分かります。
多くの人は仕事でお金を稼ぐということには慣れているけれど、せっかく稼いだお金の有効な使い方には無頓着だということを筆者は指摘しています。
また、金融では「タダ飯はない」とよく言われますが、自分だけ得するような投資というものはなく、むしろカモとして非合理的な損な投資をさせられてしまう場合があります。金融リテラシーを身につけて、合理的な投資をしようと筆者は説いています。
金融リテラシーを身につければ、よくある「投資すれば20%の配当金」などといった詐欺にも引っかからなくなると思います。
第2章「金融商品別の視点」
定期預金から国債、株式、不動産など、さまざまな金融商品について解説しています。
投資の本を読み始めたばかりの人にとっては、よく分からない商品も多いと思います。ですが、世の中にはこんな商品があり、こんな視点もあるのかと勉強になる章だと思います。
第3章「実践」
リスク資産に自分の意思を持って投資してみる段階です。
書店に行けば、良心的な本も何冊かありますが、8~9割の本が理論的には初歩的な間違いを犯していると述べています。そんなものにだまされずに投資を実践していく極意が書かれています。
「金融で儲ける基本5原則」、「金融リテラシーを身につけるための10のステップ」が紹介されていて、投資を実践しながら体得していくための章です。
第4章「金融を通じた社会責任の遂行」
投資する企業がCRS(社会的責任)を果たしているかといった点についても着目してほしいと説いています。環境にやさしい会社かといった点や武器売買やギャンブルなど好ましくない事業をしていないかといった部分を投資する際に考慮して、自分の投資を企業に対する投票のように使っていこうと提案しています。
僕個人としても、自分がよいと思うサービスや物にお金を使い、好ましくない物には無駄なお金を使わないということを通して、わずかながら経済に影響を与えられるし、さらに回り巡って、政治にもYes、Noを突きつけることができると思います。やはり、自分がよいと思うサービスや物にお金を使うのが一番良いことなのかもしれません。
まとめ
勝間さんが言いたいことは、金融と聞くとものすごく難しい分野だと思われがちですが、自分たちの生活と密接に結びついており、せっかく日々お金を稼いでいるのだから、ほんの少し知識をつけて、有効活用していこうということだと思います。