ぺんさんの殴り書き日記

アラサー男子。旅行、語学、経済のことなど。

【読書】サピエンス全史(上)(下)

サピエンス全史(上)(下) 文明の構造と人類の幸福 サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福 -2016/9/8出版
ユヴァル・ノア・ハラリ (著), 柴田裕之 (翻訳)

 

・どんな本か

人類についての歴史を文明の構造や幸福など、従来とは少し違った視点から説明している本です。

僕は表紙に「文明の構造と人類の幸福」と書いてあり、「幸福?なんか怪しそうな本」と思っていました。全然そんなことはなく、科学的なデータなどを元に書いているので、なんとなく納得させられながら楽しく読めました。

 

・読もうと思ったきっかけ

この本の日本語訳が2016年に発売された時、書店に山積みにされているのを見て、「なんだ、ネアンデルタール人とか〇〇原人とかそういうのばっかり書いているつまらない本でしょ」と思って手に取りもしませんでした。


しかし、海外の友達から、最近、サピエンス全史を読んでいて「ファクトフルネス」と同じように、どんどん世の中は良くなっているというメッセージが書かれているよと言われ、興味を持ちました。

中身がかなり濃いので、僕には文の裏に隠された細かい背景まではよく分かっていないです。自分の浅い知識で感じたことを書きたいと思います。

 

ちなみに、ファクトフルネスの感想はこちらに。

capepenguin.hatenadiary.jp

 

 

 

サピエンス全史は上巻・下巻に分かれています。
・まずは上巻について

正直、20世紀以降の歴史にしか興味のない自分には、上巻は読むのがだるいなと思っていました。

しかし、読んでみると、人が認知機能を向上させてきた経緯や狩りから農耕へと変わった生活スタイルへの洞察などが書いてあり、自分の歴史のとらえ方、見方を変えるきっかけになりました。

 

中でも、狩りから農耕に変わったことで、生産量が増え、人口が爆発的に増加するきっかけになったけれど、開墾地を管理するためにせっせと働かないと行けない生活スタイルになった。そのせいで、労働時間が増え、幸福度が上がらなかったという説明は面白かったです。

個人個人の幸福度は上がらないけれど、生物学的な視点で「人類」という生物の人口を爆発的に増やしたという点から見ると大成功だったかもしれないという視点は興味深かったです。

 


貨幣については、たとえば、金(ゴールド)がスペインで重宝されていて、メキシコでは強度もない使い勝手の悪い金属としか思われていなくても、誰かが価値のある物だと思っていれば、メキシコでも価値は上がり、価格がある程度の位置に収斂するというようなことが書いてあり、感銘を受けました。

現代では情報がすぐに伝わるので、株価や通貨のレートなども含め、原則としては一物一価もしくは取引コスト等を考慮した妥当な価格に収斂しますが、それは昔のローマや中東などでもごく自然にはたらいていた原則だと考えると、経済好きの僕としては妙に感動してしまいました。

 

 

・下巻では・・・

宗教という概念については体系的に俯瞰して考えたことがなかったので良い勉強の機会になりました。

 

上手く説明できるか分かりませんが・・・。

キリスト教イスラム教は一神教ですが、仏教は多神教です。

仏教の場合は他の神々の存在も否定しないので、日本であれば仏教と神道の両方を信仰している状況はおかしくなく、齟齬がありません。

日本だと宗教観念が曖昧で(そう思っているのは僕だけじゃないと思います・・・)、外国人に宗教について聞かれるたびに答えるのが少し面倒だと思っていました。海外では無宗教だと言ったら人でなしと思われてしまうこともあるようなので、僕としては返答するのが大変でした。

しかし、多くの日本人は仏教を信仰していて、そのうえで、神道でたくさんの神(やおよろずの神)も信仰していると説明すればいいんだなという解釈・気づきが得られて少しだけ頭の中が整理できました。

 

他にも、人間が今後さらにAIを開発していったらどうなるだろうかといった洞察なども書いていて、最後は読者に考えるように投げかけるような形で終わっていました。

 

 

 

 

最後に、ちょっと話が逸れてしまいますが・・・。

2018年に世界一周をする前に、世界史の本を1冊買って、大まかな歴史の流れを再確認しておくことにしました。実は高校ではあまり世界史を勉強しなかったので、今まで旅行した地域の歴史は断片的に知っていても、全ての地域の歴史をつなげて、俯瞰して見ることはできていませんでした。これでは、ヨーロッパやシルクロードの歴史をたどることは不可能でした。

最近は分かりやすい世界史の本が多数出版されています。たとえばこんな本。

 

ホモサピエンスを読む前、読みながらでもいいと思いますが、さらっと復習してから読むのもいいでしょう。

体系的に、必要なエッセンスをぎゅっとまとめているので、世界史が苦手という高校生にもおすすめです。